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上達の法則―効率のよい努力を科学する / 岡本 浩一

2009/06/06

効率のよい努力の方法を知りたくて読んでみた。

効率が良いと思われる方法がいろいろ載っていたけど、
聞いたことのあるような内容もあり、
その辺はまあそうだろうなあと流して読んでしまった。

それよりも上達と記憶の仕組みの解説が一番面白く読めた。
面白かった章を目次から抜粋。

 第2章 上達と記憶のしくみ
  2 : 記憶と認知のキーワード
    上級者はスキーマがすぐれている
    上級者はスキーマ依存的エラーをおかす
    上級者はコーディング能力が高い
    上級者はチャンクが大きい
    上級者は分節認知の柔軟性が高い

スキーマとは、「知覚、認知、思考が行われる枠組みのこと」らしい。
「慣れ」という言葉に置き換えるとわかりやすいかもしれない。
上級者は、「慣れ」そのものが優れていたり、慣れているが故の間違いを犯したりする。

コーディング能力は、ここでは複雑な動作を言語化して脳に記憶させる能力と定義されている。
コーディング能力が高いと、言語化の難しい複雑な動作でも簡単に脳に記憶させることができる。

上級者はまた、脳の短期記憶容量が大きい。
容量が大きいと、より多くのことを認識することができる。
覚えることが多少多くてもいっぱいいっぱいになったりしない。

そんな感じ。
上達の速い人と遅い人との違いを、
記憶の質と量という切り口で考えている点が新鮮で、楽しかった。

以下、気になった点とか。

・知識には、「宣言型知識」と「手続き型知識」の区別がある。

・第3章 上達した人はどこが違うのか
  2 : 特異な才能が光る
    上級者は「ながら」ができる
    上級者は移調作業ができる
    復元仮定作業ができる
    技能のコツを言葉(メタファ)で表現できる
    「暗算」ができる
    全体的な概算や急所の把握が正確である
    異質な次元どうしの換算式を持っている
    直接役に立たないような知識まで持っている
    一見無関係なことからヒントを得る

・茶道では、奥伝といって、流派の異なる人には見せないし、
 流派が同じでも、ある水準に達していない人には見ることする禁じている点前がある。

・模倣は学習の基本。
 深い模倣や暗唱は効果的な学習方法。

・将棋や碁では、「無筋」という言葉がある。
 理屈抜きに考慮に値せぬ着手を指す言葉である。
 無筋が無筋だとわかるのは、よい手を見る経験の蓄積による。

・著者の体験では、英語の放送やテープを聞きながら、
 聞いている英語を1秒遅れくらいで、どんどん口真似するという方法が、とても効果があった。

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